ランディもいよいよ年老いてきたが、老いて益々盛んな創作活動である。
最近の充実ぶりは素晴らしい。
『Dark Matter』も傑作であった。もう80歳前後だというのに恐れ入る創作意欲である。
思わず文学における筒井康隆を連想してしまう。
シングルの『Stay Away』も皮肉と諧謔(かいぎゃく)に満ちた自らの立ち位置をよくわかっている歌詞であった。
思わず一語違いだが彼の代表作であり傑作でもある『Sail Away』(1972年作品)を思い出してしまった。
このアルバムの中にそのものずばり『God's Song』(神の歌)という曲があるが、傑作である。
神から見た人間の愚かさ愛しさ儚さが描かれている。ランディらしい傑作である。
因みに、タイトル作の『Sail Away』も傑作である。奴隷商人の目から見たアメリカという国の成り立ちを、これまた皮肉とユーモアとペーソスに満ちた、歌詞で描いている。
私は遅れてきたランディ・ニューマンフリークであるが、最初に聞いたランディの曲は1983年NHKFMの当時人気番組だった『サウンドストリート』で佐野元春さんがオンエアしてくれた、ポール・サイモンをゲストボーカルに迎えた『The Blues』である。
この曲にノックアウトされたのをよく覚えている。
そこからズブズブとランディ・ニューマンの世界にハマって入った私であった。
今の若い人にはランディ・ニューマンと聞くと、『トイ・ストーリー』を始めとしたあまたのアニメを中心とするサントラ作家というイメージがあるだろうが、元々シンガーソングライターであり、且つソングライターでもあった。
初期の彼の私の好きな曲に『サイモンスミスと踊る熊』というのがあるが、この曲は矢野顕子もカヴァーしている名曲である。
ランディについて語りだすと、キリがないが、どの作品でもいいので皆さん是非一度聴いてみてください。
ああ、矢野顕子についても語りたくなってきた。
今日はこの辺で。